エフェメラ図鑑【パペット未満の心たち】

 

◆エフェメラとは

「エフェメラ」とは、「カゲロウ」や「短命なもの」を意味するギリシャ語で、ヨーロッパでは「一時的に発行された印刷物」の呼び名にもなってます。ある時代に一瞬だけ流行ったけど、すぐに廃れてしまったチラシやポスター、マッチ箱などもエフェメラです。

マインドパペットでは、心に一瞬浮かび上がって消える雑念や、すぐに忘れられてしまう些細な感覚などを「エフェメラ」と呼んでいます。
エフェメラはいずれかのパペットに属し、そのパペットと似た性質を持ちます。何の役にも立たないエフェメラもあれば、パペットの使い魔となって活躍するエフェメラもいます。

頭をよぎってすぐに消えた考えや、心の奥底に忘れられてる気持ちたち。
一日で消えるカゲロウのように、儚い命のエフェメラたち……
そんなものを、少しずつ描いて行こうと思っています。

※「発見者」は、そのエフェメラの設定を考えてくれた方です。皆さん、ありがとうございます!

整形虫pulcher ocellus

Genus Angelo ーーー pulcher ocellus
暗示郎属 ーーー セイケイチュウ

アブラムシに似ているが、ヒトなどから吸血し、時には各種の病気を媒介する衛生害虫。

吸血の際に、Nタンパク質などの生理活性物質を含む唾液を注入する。この唾液には、吸血された動物の瞳に鮮やかな色を付け、瞳孔を広げ、瞳を輝かせる作用がある(その作用は痒みが治まると同時に消える)。
この為、若い女性に化粧の一種として使われる事があり「整形虫」の名がついた。ちなみに、瞳の色は刺された個体と同じ色になる。

刺されると非常に強い痒みがあるにも関わらず女性に人気で、珍しい色の個体はネット上などで高値で取引されるという。特に金色の固体は希少で、一匹で数十万の値が付く事もある。人工飼育はきわめて難しく、専門のブリーダーが存在する。

近種の「ダマシアリマキ」は整形虫によく似ているため、時に整形虫と偽って市場に出回るが、こちらは刺されると眉毛が抜け落ちてしまうため、美容の為に購入する場合は注意が必要である。

 
香炉幻藻Ball.vitrum
Genus D ーーー Ball.vitrum
誰々丸属 ーーー コウロゲンソウ

不等毛植物門幻藻綱に属する単細胞性幻藻類のひとつ。
香炉によく似た骨格を持つため、香炉幻藻の和名がある。
群体を作らずに単独で浮遊し、音を分解する性質がある。

不快な音を感知すると、音を黄色い寒天質の「ゼリーノート」に物質化して、骨格の内部に閉じ込める。寿命が尽きると外殻と共にゼリーノートも分解されるが、まれに弾け飛んで音に戻るものもある。その音は内界でしか聴こえないが、とても繊細で美しく「星の割れる音」と形容される。

リボン幻藻
Minor obliqu
Genus D ーーー Minor obliqu
誰々丸属 ーーー リボンゲンソウ

不等毛植物門幻藻綱に属する単細胞性幻藻類のひとつ。
ねじれた形状から「リボン幻藻」と呼ばれる。

嗅覚を司る幻藻として有名だが、匂いだけではなく温度を感知し、環境の温度を「記憶」する働きがある事が発見された。これはリボン幻藻に多量に含まれているGタンパク質に関わりがあると考えられる。

この幻藻の働きが活発だと嗅覚が鋭くなるが、精神状態によっては焦げ臭さや塩素臭などの幻臭を感じる事もある。また、記憶した温度感覚を再現させる事も出来るため「精神を統一すれば火もまた涼し」という状態になる事もある。しかし現実の温度を感じにくくなるため、活性化は極めて危険である。

テーブル幻藻
marda scrinio

Genus D ーーー marda scrinio
誰々丸属 ーーー テーブルゲンソウ

不等毛植物門幻藻綱に属する単細胞性幻藻類のひとつ。
その形状が足付きのテーブルに似ている事から「テーブル幻藻」と呼ばれる。
硫酸ストロンチウムで出来た外殻から、光を知覚する四つの触覚芽が伸び、これに導かれて明るい方向へ向かう。

テーブル幻藻の働きが活発だと、明度を自動的に調節出来る。また不可視光線を感じ事もある。
逆にテーブル幻藻が不足すると、光に対して過敏になり、わずかな明るさでも眩しく感じるという。

主に明度感覚を司るが、精神安定にも作用すると言われている。分裂する時に微小のカルシウムを放出し、そのため精神が安定すると言われているが詳細は不明。

阿修羅クラゲ
iracaeruleus ignis
Genus Oroka ーーー iracaeruleus ignis
オロカ属 ーーー アシュラクラゲ

比較的浅い海域に生息するヒドロ虫綱。
どす黒い憎悪の感情などを餌として成長する。
しかしやがては憎悪の感情に食いつぶされて消滅してしまう。
消滅する間際、憎んだ相手の夢に炎とともに現れる。

ただし、食らった憎悪の感情が少ないと、仮面や足など一部だけが夢に現れることもある。
強い憎悪の感情を持つ者が近づくと動きが活発になり、その者についていくこともある。

寿命が訪れたり衝撃を与えたりすると部分ごとにバラバラに離れるが、やがて足りない部分が新しく出来上がる。

発見者:ラズリパイドさん

タキミジンコ
Aliis si licet, tibi non licet

Genus Bran ーーー Aliis si licet, tibi non licet
ブラァン属 ーーー 滝ミジンコ

ミジンコと名が付いているが、陸地に生息することも可能。(腹側にある繊毛をもった襞がエラの役割を、背中側にある緑の袋が肺の役割を果たす。なお、肺は気温・水温によってさまざまな色に変化する)

普段は水中に棲んでおり、その大きな羽で水流を起こし、居合わせた同種含む生物たちをその流れに巻き込むことを好む。なお、陸地にはトビウオのように跳ねることで姿を見せ、名の由来ともなった背の滝状の繊毛(なおこれは外骨格が発達したものと考えられている)に蓄えた水を辺りに跳ね散らかし、小さな虹を作り出す。 その際、羽を震わせ鈴虫に似た音を奏でることも。

半径100メートルほどを縄張りとするが、いつも気まぐれに移動しているため、タキミジンコ自身が正確に縄張りと定めているかは不明。だが、同種がその輪の中に入ると猛然と襲い掛かるケースもしばしば見受けられる。

かように攻撃的な性格の強い種ではあるが、他種には比較的寛容で、縄張り内に入っても攻撃を仕掛けようとはせず、前述のように水流を作ったり虹を披露したりといったサービス精神を見せる。ただし、それが親愛の情によるものなのか、もしくはその水流や跳ね散らかされたしぶきによって闖入者に混乱を招こうという悪戯心なのかは定かではない。また、あまり長時間闖入者が縄張り内に滞在していると、それを嫌ってか角で攻撃してくることも。

口は残っているが、消化器官が退化しているため、餌を捕食することが出来ず、それ故短命である。

発見者:うにこさん

ヒラヒラガラスエビ
【translucidus gemitus】

Genus Angelo Subgenus Randamonya translucidus gemitus
暗示郎属 ランダモーニャ亜属 スカシナゲキ(透し嘆き)

エビと名がつくものの、分類上はエビとは異なる珍しい生き物。
顔に見える部分は顔ではなく、飾りのようなもの。
何らかの働きを持つという専門家もいるが、その役割は解明されていない。
擬似顔面が嘆きの表情に見えることから「スカシナゲキ」の別名がついた。

頭頂部の触手は非常に敏感で、何かに触れるとさっと引っ込む。
髪の毛のように伸びている長い感覚器で、餌や外敵を察知して行動する。
そのとき、物に触れた感覚器はほんのかすかに音を奏でるという。

体はガラスのように透明度が高く、肉眼ではなかなか見つからないが、
全く光がない暗い場所ならばわずかに発光するため、比較的見つけやすい。

発見者:『ち』さん
 
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